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最高裁判所第二小法廷 昭和24年(れ)1484号 判決

主文

本件上告を棄却する。

理由

弁護人小島徹三の上告趣意第一点について。

公判請求書を見ると、被告人の罪名には、強盗、窃盗とあって、詐欺の罪名がないことは所論の通りである。しかしその公訴事実の題下には明に「第三」として被告人門岡がギターを騙取したとして詐欺の事実が記載されている。かように公判請求書に詐欺の事実が記載されている以上、詐欺についても公訴が提記されたものであって、罪名を記載洩れしたことは公訴提起の効力に影響するものではない。次に第一審判決でも明に同被告人について詐欺の事実を認定していること同判文で明かである。たゞ詐欺に関する法律の適條を遺脱したのである。しかし第一審で詐欺に関し審判している以上詐欺についても第二審へ移審の効果を生じたものであり且又公訴事実はその全部が第二審の審判の対象となるべきものであるから、原審が判示第一詐欺の事実に基き被告人を処断したのは正当であって、所論のような違法はない。論旨は理由がない。(その他の判決理由は省略する)。

よって刑訴施行法第二條、旧刑訴法第四四六條により主文のとおり判決する。

右は裁判官全員の一致した意見である。

(裁判長裁判官 霜山精一 裁判官 栗山 茂 裁判官 小谷勝重 裁判官 藤田八郎)

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